F「アクノリッジメント(Acknowledgement)」

Category: シュウカツ俯瞰
能力を構成する要素の一つにスキルがありますが、今回はたくさんあるスキルの中でも皆さんがすぐに直面する“コミュニケーション・スキル”のさわりをお話してみたいと思います。皆さんが中小企業や小規模事業者で働く際に、すぐにでも役立つスキルです。

昨年、とあるプロジェクトでなかなか職につけない若い人たちのキャリア・アドバイザーをしていました。
偶然、ジョブ・カード・キャリア・コンサルタントという資格を持っていまして、それ以外には運転免許も含めて何一つ資格の無い筆者の唯一の資格なんですが、そのおかげで回ってきた仕事でした。
そのキャリア・アドバイザーの仕事をしていてよく聞くのが、「コミュニケーションが取れないんです」という悩みです。
よく聞きますと、「コミュニケーション」ということを少し難しく受け止めているのではないか、そんな感じを受けています。
「コミュニケーション」とは、相手と意味や感情のやり取りをする、ただそれだけのことですので、やり取りをしたくない、と思わない限りはさほど面倒なことではありません。
でも、それを面倒なことだと思う若い人たちが多いと気づいていささか驚きました。

そこで、「コミュニケーション」の最初の一歩の話を差し上げたいと思います。
それが“アクノリッジメント(Acknowledgement)”です。
これはコーチングの世界でよく使われる言葉で、日本語では「承認」と訳すようです。
筆者は、「あなたの存在を私は認めていますよ」ということではないかと思います。

少し面倒な言い方をしますと、人間という生き物は社会的な存在ですから、必ず他人から認めてもらいたいという強い気持ちを持っています。
逆に他人に認めてもらえない状態が長く続きますと、その精神状態はバランスを欠くようになります。
要するに「シカト」されると気分が悪い、ということなんですね。

“アクノリッジメント(Acknowledgement)”はその逆です。
「あなたがそこにいることを私は認識していますよ、決して無視していませんよ」と、相手に伝えることです。
これがあると、相手は安心できます。
そこではじめて「コミュニケーション」に進めることになります。