F「関係のマネージメント」

Category: シュウカツ俯瞰
前回までのビジネスの話で、「需要」と「供給」のことを学んでいただいたと思います。
皆さんが社会へ出るということは、皆さんが社会に自分自身を提供することでもあります。
その際に、皆さんは何を提供することができるのか、これがかなり重要です。特に中小企業や小規模事業者のように規模の小さな会社では、個人にかかるウェイトが大きいのでなおさらです。皆さんが会社に何を提供できるか、です。
そうした観点から、「人間の能力」について数回に分けて考えてみたいと思います。

若い人で、世の中から孤立して生きようとは思わない人、企業で働いて生きようと思う人、自分が経営者になろうと思う人であれば、ピーター・ドラッカーという経営学者(というよりは現代社会における知の巨人)の著作を一冊は読むのがよいと思います。
ピーター・ドラッカーの言ったことは、筆者もこれからたくさん引用させていただくことになるでしょう。

ピーター・ドラッカーは「マネージメント」という概念の発明者だとよく言われます。
マネージメント、いささか厳密に説明をしますと、組織に成果をあげさせるための仕組みや方法であり、組織が成果をあげることで社会が発展し、結果して社会を構成する私たち一人ひとりの幸福につながる、そうした全体としてのプラスの流れを生み出す重要な要素のことを言います。
まあ、そこまで面倒に言わないとすれば、自分の属している組織をうまく動かし、よい成果に結びつけることだと思えば、皆さんにもその重要性がわかると思います。
このマネージメントができていない組織は、すぐにギクシャクし、あるいは手戻りし、多くの失敗を重ね、その組織に属している人間も幸せにはなれないでしょう。

こうしたマネージメントを私たち自身の生き方に置き換えてみると、それがうまくできていれば私たちもプラスに流れる可能性が生まれ、それがうまくできていないとマイナスに流れてしまう危険性が出てきます。
では、私たちは何に注意して自分自身をマネージメントすればよいのでしょうか。

ピーター・ドラッカーは、「仕事」「知識」「関係」「時間」の四つを重要な要素だと位置づけています。その中で今回は「関係のマネージメント」に絞ってお話したいと思いますが、要するに「朱に交われば赤くなる」ということです。別の言い方をすれば「よき友、よき師を選ぶ」ということです。
誰と関係を作ればよいのか、それをよく考えて生きないと、自分自身のプラスになる対人環境は手に入りません。
でも、自分の周りによい人がいなければどうしたら、と言われそうですが、どんな人にも出会いは必ず訪れます。むしろ、問題は出会いを見逃してしまう自分自身にあるかもしれません。ですので、必ず訪れる出会いへ向けて、そのチャンスを見逃さないように、準備を怠らないことです。
そうした準備の一つに、「ピーター・ドラッカーの著作を読む」という行為も入ると考えていただければと思います。あるいは、歴史上で尊敬できる人物を見つける、あるいはそうした人物にあこがれる、という行為も入ると考えていただければと思います。
どういう人と関係を作ればいいのか、そのイメージができていなければ、せっかくの出会いも見逃してしまうかもしれません。

次回は、関係したい人のイメージはできた、でもどうしたら出会いを関係に活かせるのかわからない、という人のための糸口についてお話したいと思います。