C「ビジネスとは~はじめに~」

Category: シュウカツ俯瞰
このコラムは、「地域中小企業の人材確保・定着支援事業」の一環としてお届けするものです。
この事業は、中小企業や小規模事業者が地域で学んだ大学生などを地域において円滑に採用でき、かつ定着させるための自立的な仕組みを整備することを目的としています。そして、そうした若手人材を継続的に確保し、中核人材として育成することで、中小企業や小規模事業者の経営力強化を進めようとしています。
このため、このコラムでは①これから社会に参加する若者の皆さんに「働く」、あるいは「ビジネス」ということがどういったものなのかを知っていただく、②中小企業や小規模事業者で働くために重要な知識やスキル、あるいは“社会人基礎力”や一般常識を身につけていただく、③中小企業や小規模事業者の海外進出や市場開拓において必要とされるさまざまな国や地域の情報や文化風土などの基盤的な知見を知っていただく、そうしたことを大きな狙いとしています。
時には幅広い知見をご紹介するために、少々間口を拡げることもあるでしょうが、それもこれからの日本を背負う皆さんに求められる一種のリベラル・アーツだとご理解をいただければ幸いです。また、このコラムを書くに際して、日本経済新聞とウィキペディア(Wikipedia、ウィキメディア財団が運営しているインターネット百科事典)から多くの情報を得ていることをあらかじめお伝えいたします。
それでは、第1話として「ビジネス」の話からはじめることとしましょう。

筆者はビジネスをはじめる際に、ある種の基準を持っています。
それは次の三つの尺度です。
①ビジネスで利益が上がること
②ビジネスによって、お客さまにプラスを与えられること
③ビジネスを通じて、ビジネスに関わったスタッフ、あるいはスタッフが所属する組織が成長できること
こうした尺度を“価値観”と言います。
価値観とは何か、という話はおいおいお話しましょう。
今は、こうした基準とか尺度とかが価値観なのだ、とお考えください。

大企業であれ中小企業であれ、あらゆる企業には必ずこうした価値観があります。
言い換えれば、その企業の精神風土のようなものでしょうし、企業文化と言えるかもしれません。
例えば、リクルートの価値観は以下のセンテンスで表現できるでしょう。
「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」
このリクルートのセンテンスのように、明確で過不足なく、誰にでも理解できる(再現できる)価値観を持っている企業を“ビジョナリー・カンパニー”と言います。
もともとはジェームズ・C・コリンズとジェリー・I・ポラスが、『ビジョナリー・カンパニー』(日経BP出版センター)で紹介したものです。
現代アメリカで成功を収めた企業にはある種の共通したポイントがあり、それはこうした価値観を明確に現わし、かつそれを実現できた企業である、ということのようです。

皆さんの多くは、これから企業へ勤めることで社会へ出て行きます。
サルトル流に言えば、アンガージュマン(社会参加、engagement)の第一歩を踏み出すことになります。
その際、極めて重要なことが、どの企業を選ぶのか、あるいはどの企業に選ばれるのか、です。

現代はインターネットの世界です。
必要な情報は基本的にインターネットの中にあります。
そして、ほとんどの企業は何かしらの情報をインターネット上に出しています。
こうした情報をリサーチすることは当然重要ですが、同時に初任給とか、役員の出身校とか、当期利益とか(これはまだましな情報ですが)、そういった情報だけではなく、その企業の価値観につながるような情報を探してみてはいかがでしょうか。
なんと言っても、かなりの人生をともに過ごす相手です。
その相手が洋食好きなのか、和食好きなのか、濃口醤油か薄口醤油か、くらいは調べておきませんと、成田離婚につながりかねません。新卒就職者の3人に1人は入社3年以内に退社している時代ですのでどうかご注意ください。

<筆者の紹介とこのメール配信のルール>
① 筆者は福島県の会津若松市に住んでいます。
② まもなく60歳になる初老の男性です。
③ 25歳のときからいろいろな職場を渡り歩いてきましたが、信州大学繊維学部特任教授の岡田基幸さんとは、産学連携の業界にいた頃の知り合いです。
④ メール配信のルールは簡単で、個別の問い合わせや質問は歓迎しますが、フルネームで<yoshida@nojuan.com>までお願いしたいと思います。さほど時間をおかずにご回答差し上げますが、わかること、できることと、わからないこと、できないことがありますので、お許しください。