F第45話「仕事が寄ってくる」

Category: シュウカツ俯瞰
筆者がよく読んでいるブログに「西山牧場オーナーの(笑)気分」があります。そのほとんどは馬に関する話題なのですが、たまに経営者としての視点から興味深いテーマを書き込んでくれる日があります。
これが実に秀逸で、「なるほど」と思わされることがよくあります。

一つご紹介しますと、「急ぎの仕事は忙しい人に頼め」というテーマがありました。
「雑用を嫌な顔せずに、サッとこなせる社員に次の雑用が行き、そして大事な、大きい仕事が回っていきます。
雑用を頼まれて、『俺はこんな雑用をするために、入社したんではない。もっと大きい仕事がしたいんだ。』
こんな社員に、大事な仕事を任せることはありません。
以前にも書きましたが東大生に『高校時代、どんな勉強をしましたか?』
みんな声を揃えて『ふだん授業でやる小テストを大事にしてきました。』
いきなり、模擬試験や入試ばかりを狙ってもうまく行きませんね。
これを読んだうちの社員へ。
いい仕事をしたかったら掃除や買い物など小さな雑用を大切に。
サラリーマンに雑用は本業です。
雑用を笑顔でたくさんこなした社員がいい仕事が回り、給料が上がり、賞与も上がり、昇格します。」

いささか、経営者寄りに過ぎるかもしれませんが、真実の一端がそこにあります。
信頼や評価は一朝一夕では得られません。
一つ一つ小さな実績と努力を積み重ねることだけが、信頼や評価を得られる道だからです。

仮に皆さんが会社へ入り、いろんなことを頼まれるとすれば、それは「できる」と思われているからに他なりません。経営者でも職場の上司でも先輩でも、「できない」と思う相手には頼みません。
もちろん、最初から大きなことを頼まれることはないでしょう。しかし、一つ一つ頼まれたことをこなしているうちに、だんだんとよい大きなことを頼まれるようになります。
そうしたらしめたものです。
まさに西山さんが言うように、「雑用を嫌な顔せずに、サッとこなせる社員に次の雑用が行き、そして大事な、大きい仕事が回っていきます。」ということです。
これが釣りで魚が入れ食いになるように、会社で「仕事が寄ってくる」という状態なのです。そこまでどうもってゆくか、これが大切なのです。

それでは、皆さんがいろんなことを頼まれて手一杯な状態になっているとしましょう。でも、さらに頼まれる。どうやって捌こうか、という問題が出てきます。
ここで考えないといけないのが、優先順位です。
まずは、それをいつまでに片付けないといけないのか、というスピードの順位。
ついで、重要性やエラーの許される度合い、というウェイトの順位。
最後に、誰から頼まれたのか、というヒューマンの順位。
これを組み合わせて、「やらなくてはならない仕事を後回しにして、順番で先に頼まれたからと急ぎでない仕事に時間を使う人」にはならないように注意しないといけません。

また、「いつまでならば片づけられる」という目安をあらかじめお伝えするのも重要です。もちろん、優先順位の上のものであればあるほど、その「いつ」は早くなければいけません。
何よりも悪いことは、約束を裏切ることであり、期待を裏切ることです。裏切るくらいならば、安請け合いしない方がまだしもましです。
可能な範囲で、できるだけ早く、しかも的確に、という原則を忘れなければ、自ずと成果が出てくるものです。