2月12日(木) 第284回リレー講演会 『プラスチック成形の未来 ― 基礎メカニズムからDX・資源循環・型レス製造まで』【レポートあり】

本講演会では、プラスチックの可塑化過程と温度解析により材料挙動を理解したうえで、ボトル成形における資源問題や省エネ・デジタル化への取り組みを解説します。さらに粉砕材・リペレット材を活用した大型3D プリンターによる循環型・型レス製造の可能性を示し、成形技術の全体像と今後の方向性を俯瞰します。プラスチック成形に携わる技術者・研究者・企画担当者に新たな気づきと未来への視座を提供することを目的としています。

■日時:2026年2月12日(木) 13:30~16:45
■会場:AREC4階会議室(上田市常田3-15-1信州大学繊維学部内)
■開催方法:会場とZoomオンライン
■参加費:無料

~ 内容 ~

■講演1  13:30~14:20
演題:「射出成形可塑化過程と樹脂温度の可視化解析」
講師:東京大学 生産技術研究所 機械・生体系部門 特任講師 龍野 道宏 氏
概要:射出成形において樹脂ペレットが溶融する過程と計量された樹脂の状態を可視化し,それらの相関を明らかにした.加熱シリンダに設置した観察窓から内部を高速ビデオカメラで撮影することで,ホッパから投入された樹脂ペレットがスクリュ回転によりノズル側へと押し出される過程で固体層と溶融層に分離し,成形条件によっては固体層が分裂して溶融不十分なまま流出することを明らかにした.また,樹脂温度計測金型により射出樹脂温度変動を赤外線サーモグラフィで撮影し,成形条件により樹脂温度が変化することや,射出後半に可塑化不十分な低温の樹脂の塊が流出することを確認した.以上の手法により,樹脂系,成形条件,スクリュ形状の影響について講演する.

■講演2 14:20~15:10
演題:「プラスチックリーダーとして、私たちが伝えたいこと」
講師:日精エー・エス・ビー機械株式会社 技術本部 技術開発部 部長 日高 康裕 氏
概要:日精エー・エス・ビー機械は、長野県小諸市に本社を置く、ボトル成形機のグローバルニッチトップ企業(経済産業省2020年認定)です。本講演では、まずパッケージとしてのボトル基本機能などの基礎部分から、プラスチック資源の抱える課題、その解決策となる当社の成形技術アプローチなど、今私が伝えたいことを幅広くお話しします。さらに、機械の省エネルギー化への取り組みや、新制御システム「Vision1™」を中核としたデジタル化など、持続可能な生産活動についても触れられればと考えています。必ずや皆様の課題解決のヒントとなると思います。

<休憩10分>

■講演3 15:20~16:10
演題:「自社開発・大型3Dプリンターによる型レス循環型成形」
講師:株式会社ExtraBold  代表取締役 原 雄司 氏
概要:株式会社ExtraBoldは「Green Creative」を掲げ、自社開発の大型3Dプリンターを核に、環境課題解決と新しい製造方法の創出に取り組んできました。創業者の原は、過去にも環境負荷の大きいエッチング工程を不要とする表面加飾技術「デジタルシボ®」を発案。設計段階から環境配慮を行うものづくりを推進しています。本講演では、プラスチックごみや有機廃棄物を利活用し、大型3Dプリンターによって型レス成形を実現する事例を紹介します。さらに、Additive ManufacturingとMillingを組み合わせたAddMill工法により、切子などの廃棄物削減と高精度加工を両立するプラスチック加工の次の選択肢を提示します。

■名刺交換・交流会 16:15~16:45(目安) 
    コーヒーを片手に、気軽な交歓をお楽しみください。自由解散です。

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■お申込みはこちらの申込みフォームより、または、所属、氏名、メールアドレス、参加方法をARECまでご連絡ください。
当日のご案内及びZoom招待URLは開催日1~2日前にご連絡いたします。

■チラシはこちらよりダウンロードしてください

当日の様子

本講演会は、プラスチック成形分野の最前線で活躍する産学の講師を招き、技術解析から環境戦略、次世代製造技術までを網羅する構成で開催されました。まず、東京大学の龍野道宏氏が、赤外線サーモグラフィを用いた樹脂温度の可視化解析について発表。スクリュ形状や成形条件が可塑化過程に与える影響を、具体的なデータで解説しました。続いて、日精エー・エス・ビー機械の日高康裕氏より、小諸発のグローバル企業としての「4R」戦略とデジタル革新について紹介がありました。ボトルの軽量化や最新制御技術「Vision1」による省エネ化など、環境課題への具体的な解が示されました。最後に、株式会社ExtraBoldの原雄司氏が、粉砕材やリペレット材を活用できる国産大型3Dプリンターを紹介。金型不要の「型レス製造」による循環型ものづくりの可能性を提示しました。

参加者の感想と反響
参加者からは、実務に直結する知見から未来のビジョンまでを網羅した、非常に濃密な内容だった」と評価をいただいております。可視化解析については、加熱シリンダ内の挙動を視覚的に理解できる点が「成形不良の低減や生産性向上を考えるうえで極めて有意義だった。また、環境対応や3Dプリント技術に関しても、「自社の進むべき方向性を考える指針になった」「リサイクル材活用の具体例が、次世代のものづくりを考える大きな刺激になった」といった前向きな感想が多数寄せられました。専門的な内容を分かりやすく構成の上ご講演頂いたことで、参加者の理解と満足度が非常に高い講演会となりました。
(高橋)

参加者57名(会場20名、オンライン37名)

講演会
日精ASB様サンプル展示
交流会の様子